第7章 コスト・リーダーシップ
企業戦略論<中>事業戦略編〔競争優位の構築と持続〕 ジェイ・B・バーニー著 岡田正大訳 ダイヤモンド社 2003年 65-109項 諸ゼミ21期 生貝 拡樹 7.1 コスト・リーダーシップの定義 →「事業の経済的コストを他の企業を下回る水準に引き下げることによって競争優位を獲得することに尽力すること」 コスト優位の源泉 ①企業の大きさと規模の経済 →ある事業において、製造・マーケティング・流通・サービス以外での規模で著しい規模の経済が存在する時、より大きな企業はより小さな企業に比べてコスト優位を得られる。 ・生産規模と専用機械 ・生産規模と工場や設備のコスト ・生産規模と従業員の専門化 ・生産規模と間接コスト ②企業の大きさと規模の不経済 →規模の経済はより大きな企業にコスト優位をもたらすが、企業サイズが大きくなりすぎると規模の不経済に陥ってしまう。 ・効率性を維持できる生産規模 の物理的限界 ・マネジメント上の不経済 ・従業員のモチベーション ・市場および原材料への距離 ③経験の差がもたらす学習曲線による経済性 →他の条件が全て等しければ製品やサービスの製造に関して最多の経験を持つ企業が、業界における最低基準のコストを実現し、コストに基づく競争優位を獲得する場合もある。 ・学習曲線と競争優位 ※学習曲線の適用には2つの批判 ・市場シェア獲得にはコストがかかる。 ・この概念自体が製品差別化・協力戦略・企業戦略の余地が一切ないと考えている。 ④生産要素への差別的で低コストのアクセス →生産要素の1つでも他企業にはない低コストのアクセスができる企業は、競合他社と比べて低い生産コストを実現できる可能性が高い。 ⑤規模と無関係の技術上の優位 →企業間に生産規模の差がなくても、各企業の保有する物理的技術の違いでコスト上の大きな差になる。 ※技術…技術的ハードウェア(機械、ロボット等)、 技術的ソフトウェア(労使関係、組織文化、経営管理の質等) ⑥経営政策の選択 →自社がどのような製品やサービスを提供するかの選択 EX)ターゲットコスト設計システム 7.2 コスト・リーダーシップの経済価値 外部環境における脅威に対する価値 ①新規参入の脅威 …コストに基づく参入障壁を構築できる。新規参入者は参入前に十分なコスト削減を行うため、多額の事前投資が必要となる。 ②競合の脅威 …コストリーダーは自ら価格政策を選択することで、自社に及ぼす以上の影響を他の競合企業のパフォーマンスに与えて、脅威を無力化できる。 ③代替の脅威 …高コスト企業の製品やサービスは高い価格設定になり、コストリーダーの製品やサービスは代替品に対する相対的魅力度を高く維持できる。 ④供給者の脅威 …コストリーダーは高コスト企業に比べ、供給者(サプライヤー)の高価格の供給品を受容する柔軟性がある。 ⑤購入者の脅威 …コストリーダーは顧客の要求を受容するだけの柔軟性がある。 7.3 コスト・リーダーシップと持続的競争優位 →持続的競争優位をもたらすには、戦略が稀少かつ直接的複製・代替による模倣が困難かにかっている。 7.4 コスト・リーダーシップ実行のための組織 →コスト・リーダーシップ戦略を実行する上で垂直統合(第6章)の組織体制作りが適用できる。 ①組織構造(U型組織) ・少ない階層の報告構造 ・単純な報告関係 ・少数の本社スタッフ ・特定の機能分野への集中 ②マネジメント・コントロール・システム ・厳格なコスト管理システム ・コスト数値目標 ・労働者・原材料・在庫およびその他のコストに対する詳細なモニタリング ・コスト・リーダーシップの価値観 ③報酬制度 ・コスト削減に対する報奨金 ・あらゆる従業員に与えるコスト削減へのインセンティブ ________________________________________________________ 21期 文献レビュー <企業戦略論> 第1章 戦略とは何か 第2章 パフォーマンスとは何か 第3章 脅威の分析 第4章 機会の分析 第5章 企業の強みと弱み -リソース・ベースト・ビュー- 第6章 垂直統合 第7章 コスト・リーダーシップ 第8章 製品差別化 第9章 柔軟性 第10章 暗黙的談合 第11章 戦略的提携 第12章 多角化戦略 第13章 多角化戦略の組織体制 第14章 合併買収 第15章 国際戦略
by morokami_seminar
| 2005-12-04 22:42
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