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21期 文献レビュー <企業戦略論>
第6章  垂直統合

企業戦略論<中>事業戦略編〔競争優位の構築と持続〕
ジェイ・B・バーニー著 岡田正大訳 ダイヤモンド社 2003年 5-62項
諸ゼミ21期 伊藤 孝
                  
1、垂直統合の定義
垂直統合(vertical integration)・・・バリューチェーンに含まれる個々の活動を社内に取り込んで、企業活動の範囲を拡張すること。
→携わる活動の数が多いほどその企業の垂直統合度は高く、少ないほど垂直統合度は低い。

前方垂直統合:製品やサービスの最終顧客とよりダイレクトに接触する方向に進む場合。
後方垂直統合:製品やサービスの最終顧客から遠ざかる方向に進む場合。
 


2、垂直統合の経済価値

 <取引の統治形態>
  ・市場による統治:取引に関わる主体同士が相手の見えない市場で介し、
   その取引の管理はすべて市場で決定した価格に基づいて行われる。
  ・中間的統治:市場による統治でも垂直統合でもない両極の間に位置する統治形態。
  ・階層的統治(垂直統合):経済取引が一企業の内部で完結し、
   バリューチェーンの複数のステージをまたいで行われる。  

垂直統合の意思決定に対する3つのアプローチ

取引費用経済学~機会主義の脅威と統治コスト~
 『ある経済取引が潜在的に価値があると見なされる時、統治メカニズムの目的は、その取引において取引主体が不公平に搾取される脅威を、可能な限り低いコストで最小化すること』        
*機械主義の脅威の決定要因*
①その経済取引における取引特殊な投資のレベル
②その経済取引が内包する不確実性と複雑性のレベル

統治形態の類型
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リソース・ベースの視点~ケイパビリティと統治の選択~
 リソース・ベースの観点から導き出される2つの命題
●著しい機会主義の脅威が存在するのに関わらず、他の企業が価値があり希少で模倣コストと獲得コストが大きいケイパビリティを保有している場合、非階層組織的統治を選択すべき場合がある。
●企業は、自社が競争優位を有している事業機能で、垂直統合すべきである。
 
リアルオプションの視点~不確実性と統治選択~
  オプション(9章で詳述):特定の資産を事前に定めた価格で定めた期日に売買する権利
   →リアルオプション:工場設備、技術など実物資産に設定されるオプション

  ある特定の投資が最終的に          戦略的柔軟性を 
   価値を有するかどうか            最大化する
    非常に不確実である場合             統治選択を考慮

  (注)ここでいう不確実とは、ある投資における将来価値の不確実である。

3、垂直統合と持続的競争優位

 垂直統合戦略策定における希少性と模倣困難性
    ①不確実で複雑な経済取引を理解する能力
    ②異なる統治形態を知覚し実行する能力
    ③機会主義的に行動する傾向 

4、垂直統合のための組織

様々な活動の持つ潜在的価値をフルに発揮するためには、どのように組織化すればよいか?
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①組織構造
U型組織のCEOの責務は、
 a、企業の戦略の策定。
 b、戦略の実行を促進するために企業内の機能別専門家の行動を調整。

②マネジメント・コントロール
●予算策定プロセスが各機能別マネジャーや企業の直面する経済的現実を反映しており、会計数値ベースの予算から経済価値ベースの予算へ移行する。
●内部経営会議を活用
 
③報酬体系
垂直統合戦略を実行する際にいかに従業員を処遇するかの報酬政策が重要となる。労働者のスキルや能力レベルは様々であり、求人案件ごとに魅力度は異なるため、必要な人材を雇用するための報酬形態をとらなければならない。


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21期 文献レビュー <企業戦略論>

第1章 戦略とは何か
第2章 パフォーマンスとは何か
第3章 脅威の分析
第4章 機会の分析
第5章 企業の強みと弱み -リソース・ベースト・ビュー-
第6章 垂直統合
第7章 コスト・リーダーシップ
第8章 製品差別化
第9章 柔軟性
第10章 暗黙的談合
第11章 戦略的提携
第12章 多角化戦略
第13章 多角化戦略の組織体制
第14章 合併買収
第15章 国際戦略
by morokami_seminar | 2005-12-05 22:44
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