第3章 脅威の分析
ジェイ・B・バーニー著 岡田正大訳 企業戦略論【上】基本編―競争優位の構築と持続― ダイヤモンド社 2003年 諸上ゼミナール第21期生 小宮未帆 競争優位をもたらすためには「外部環境における脅威を無力化し、外部環境における機会と自社の強みを活用すると同時に、自社の組織が持つ弱みを回避もしくは克服できる」戦略でなければならない。本章の目的は外部環境に存在する脅威に着目し、それをどのように察知し、いかに無力化できるのかを考える。 業界の魅力度(industry attrantiveness) =その業界の脅威と機会の程度によって決定される。 ・非常に魅力的な業界:大きな機会がある一方、脅威はごく限られている業界 ・まったく魅力的でない業界:著しく脅威が存在し、機会も非常に限られている業界 1.SCPモデル:「業界構造―企業行動―パフォーマンス・モデル」 ・業界構造:その業界に存在する競合企業の数、製品の差別化の度合い、参入と退出のコストなど ・企業行動:市場価格に応じた価格調整による需要変動への適応、製品差別化、談合、市場占有力を背景とした諸行動 ・パフォーマンス:個別企業レベルのパフォーマンスと業界全体としてのパフォーマンス 2.脅威を分析する5つの競争要因モデル 外部環境における脅威=「業界の競争レベルを上昇させ、企業のパフォーマンスを標準レベルに押し下げようとする力」のこと。コストの上昇や売り上げの減少、企業のパフォーマンスを悪化させる。 図2 脅威を分析する「5つの競争要因」モデル 本書120項参照 ①新規参入者:その業界で最近になって操業を開始したか、もしくはまもなく開始しようとしている企業 業界への参入障壁【規模の経済・製品差別化・規模に無関係なコスト優位性(自社独自の占有技術、ノウハウ、原材料への有利なアクセス、有利な地理的ロケーション、学習曲線によるコスト優位)・意図的抑止・政府による参入規制】 ②競合度:互いに直接競合する企業間の競争の激しさ 競合度が高い状態 Ex.頻繁に行なわれる価格引下げ、矢継ぎ早に行なわれる新製品導入 □ 競合の脅威が大きい業界と特徴 ・競合他社が多数存在する ・それぞれの競合企業が同規模で、市場への影響力も同程度である ・業界の市場成長率が低い ・製品差別化が難しい ・生産能力の増強単位が大きい ③代替品の脅威:自社とほぼ同じ顧客ニーズを、異なる方法で満たす。また代替品は多くの業界で潜在的利益を減少させている。Ex.GMの自家用自動車の代替品は自転車、バス、電車、飛行機など ④供給者の脅威:供給価格を上げたり、供給物の品質を下げたりするなどして、供給先である既存企業のパフォーマンス対する脅威となる。 □ 供給者の脅威を示す指標 ・供給者の業界が少数企業で支配している ・供給者の販売する製品がユニーク、高度の差別化である ・供給者が前方向への垂直統合をするおそれがある ・供給者にとって自社が重要な顧客ではない ⑤購入者の脅威:自社の立場から見て、購入者は自社の収入を減少させようとする。 □購入者の脅威を示す指標 ・自社の購入者が少数しかいない ・自社から購入者に販売される製品は差別化されておらず、標準品である ・購入者に販売される製品価格が、購入者の最終コストに占める大きな割合になる ・購入者が高い経済的利益を得ていない ・購入者が後方垂直統合をするおそれがある 3.国際環境における脅威 5つの競争要因のフレームワークには、業界に存在する「競争」の形態をより広く捉えられるという利点がある。しかし、企業が直面する脅威の構造を完全に理解するためには、企業が活動する国内市場の外に存在する脅威を考慮しなければならない。 ________________________________________________________ 21期 文献レビュー <企業戦略論> 第1章 戦略とは何か 第2章 パフォーマンスとは何か 第3章 脅威の分析 第4章 機会の分析 第5章 企業の強みと弱み -リソース・ベースト・ビュー- 第6章 垂直統合 第7章 コスト・リーダーシップ 第8章 製品差別化 第9章 柔軟性 第10章 暗黙的談合 第11章 戦略的提携 第12章 多角化戦略 第13章 多角化戦略の組織体制 第14章 合併買収 第15章 国際戦略
by morokami_seminar
| 2005-12-08 02:10
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